惣譽酒造株式会社

惣誉を愛する会

2017
425
Tue

今年も、市貝町の「惣誉を愛する会」と、お隣の芳賀町の「芳賀町地産地消と惣誉を愛する会」が3月の終わりにに行われた。いつも、沢山の地元の方たちにお越しいただき、にぎやかに開催されている。幹事の方々、参加してくださる皆さまには本当に感謝しております。

最初の会長の挨拶、社長の挨拶、そしてご来賓の乾杯のご発声とつづき、香りの高い大吟醸で乾杯すると、酒宴の開幕である。料理に合わせて運ばれる惣誉の様々なお酒を、普通より比較的速いペースで(皆さんお酒好きの方が集まっているので)次々に開けて、美味しいね、美味しいね、と、飲んでいる。100人近い人が同じ会場で、一つの地酒を飲む。最初はテーブルについて、静かだった人々も、お酒が入るにつれ、饒舌になり、笑顔になり、和やかなムードが会場全体に広がっていく。私がお酒を注いで、ご挨拶に廻っていくと、惣誉のお酒を日頃から飲んでくださっていること、私たちの先代からのお付き合いを語ってくださる方、お土産には必ず持っていくんだと話される方……。作ったお酒をお店まで配達して、その先のお客さんとはなかなかお会いすることがないが、この時には本当にたくさんの方と直接お会いすることができる。

「地酒」とは、地元の人に喜んで飲んでもらえる酒である。美味しい酒を造って、地元の人に飲んでもらいたい。吟醸酒じゃなくても、普通酒も美味しい酒にしよう。普段飲む酒が美味しくなくては。これが、いつもうちの社長が話している惣誉のモットー。

先日、ある講演会で、ワインの専門家が、日本酒は食中酒です、と言って、食事の邪魔をしない、特徴のない水のような酒を良い酒だ、と言っている人がいるけれど、ワインはその逆で、はっきりとした個性をもっているワインが、料理を引き立てるのです。だから、日本酒も、個性を持った酒を一つ一つの料理に合わせることで、より楽しみ方が広がります。と、話していた。

「個性」・・・日本酒の個性とは、何か?その時、テイスティングに出された日本酒は、ある種の吟醸香を出す酵母を使った酒、強い熟成香のあるもの、燻製のような香りのあるもの、3年熟成の黄色い酒、瓶内二次発酵のガスが入った甘めの酒。

そして、彼は、様々な言葉でそれらの酒の香りや味を表現しながら、これらの酒に合う料理は何という種類のチーズです、納豆です、いちご大福です、厚焼き玉子です、と、立て板に水のように語られました。

そして、日本酒の公的な鑑評会は、減点法であり、このような香りがあってはいけない、こんな味は雑味であると言われて、最後には水のような酒が評価される、と、ちょっと否定的な意見を述べられました。確かに、全国新酒鑑評会や、各国税局の酒類鑑評会は、ある一定の基準で審査されてはいますが、水のような酒が評価されるわけではありません。ここで競うことによって、日本酒製造蔵の技術を高めてきた功績があるのも事実です。

そして、彼が日本酒の「個性」だと言ったテイスティングのお酒の味わい。ワインの評価法を使った新しい日本酒の評価法でした。

惣誉の酒の個性はなんですか。「日本酒」とは、このような味と香りだ、と、当主の信じる酒です。