惣譽酒造株式会社

ワイン造りと日本酒造り

2017
630
Fri

6月の初めより、息子がフランスのワイナリーに住み込みで、ぶどう栽培からワインの仕込みまでを体験させていただいている。今の季節はどんな仕事をやっているのか。今週はずっと、ぶどうの木をまっすぐにする作業、そして、来週からはずっと、ぶどうの房より上の枝を切る作業、・・・と、ライン電話で教えてもらった。手作業で広いぶどう畑のすべての木を手入れするのだという。家族総出で、朝早くから働いて、暑い午後は休み、夕方また働いて、日暮れの遅い夜はアペリティフを楽しむ。ぶどう畑まで行く道々には様々な果実がみのり、自由に採って食べていいよ、と言われている。沢山収穫したら、果実酒を作ったり、ミルクを混ぜてアイスクリームにしたり。

息子の話すフランスのぶどう農家の暮らしは、とても色鮮やかで、豊かである。

「田舎での楽しい暮らし方を教えてもらってる気がする。」と、息子が話す。(ぜひ、栃木の田舎暮らしも楽しんでいけるといいね。)

ぶどう農家がワインを造る。ワイン造りはぶどう造りである。良いぶどうを造ることが良いワインを造るための要素の大部分を占める。

一方、日本酒の造り酒屋は「農家」ではない。自分で米を作っている所は少ないであろう。原料となる米を仕入れて、製造技術を駆使して、日本酒を製造する。この製造技術こそが、造り酒屋の本領である。

米はぶどうと違って、乾物なので、輸送することができる。酒造りに適した米を遠い地方から買うこともできる。惣誉酒造は兵庫県特A地区の山田錦を仕入れている。この山田錦を使って、良い仕込みをすると、日本酒本来の旨み成分を豊富に含んだ酒ができる。すべてを包み込んでしまうような「甘さによるふくらみ」だけではなく、じんわりとした「旨みによる甘さ」を感じる酒。

 

最近、よく聞くのは、地酒はその土地の米を使って、その土地の水で、その地域の人の手で造った酒でなければ、という意見。まさにワインと近い考え方だ。

しかし、本当に美味しいと思う味わいを追求するために、水は地元の美味しい井戸水で、酒造りには最高の米を仕入れて使って、真面目に南部杜氏伝統の技で仕込む酒蔵も、地酒と言っていいのではないだろうか。

この、旨い酒を造る熱意に溢れた製造技術を、惣誉の売り物にしたい。

ちょっと今日は、真面目に語ってしまいました。