惣譽酒造株式会社

秋の夜長の物思い

2017
94
Mon

栗の実が落ちるようになって、夜な夜な栗剥きに勤しんでいる。テレビを見ながら、あるいは音楽を聞きながら、ここ数日は気候も秋らしくなって、静かな秋の夜長の手仕事である。

テレビでは、眞子さまの婚約の会見と、北朝鮮の核実験のニュースが交互に流れている。しかし、チャンネルを変えると、クイズに興じていたり、ブラブラ平和な街を散歩していたりする。核ミサイルが飛んでくるかもしれない。試しに日本に撃ってみればアメリカが無条件の交渉に出てくるかもしれない。「レッドライン」って、そのあたりかも。と、かの国の指導者は思ったりしないのだろうか。たとえ、それが近い未来だったとしても、私たちに何ができるのだろう。普通にこの穏やかな生活を続けていくこと以外に。自然災害と、ミサイルの被害の両方の訓練が行われる災害の日、今年の9月1日だった。

自身の背中に原爆の大やけどを負った写真を持って、核兵器廃絶を訴えていた被爆者、谷口氏が亡くなった。この酷い爆弾を落とした国の核の傘の庇護を受けながら、近くの国の核におびえて、「協力して圧力をかける」と訴え続けるしかないこの国の悲しさ。

 

栗ご飯とサンマの塩焼き、けんちん汁。これが、秋の定番メニューである。ところが、サンマが高い。しかも、なんだか並んでいるのが少ない。中国や台湾が沖合でとても大きい船で沢山捕獲してしまうので、日本の近海にやってこないというのだ。ちょっと、やめてよ。スーパーの安売りで、われ先にと安売りの食料を買い漁るオバサンの気持ちになってしまう。私のサンマを取るんじゃない。サンマもダメ、うなぎもダメ、クロマグロもダメじゃ、日本人はどうやって食べていけというの?

ボーっとして栗を剥きながら、穏やかに美味しいもの食べて生活しているこの平和は、テレビを見ていると「続きませんよ。」と言われているようで、穏やかな気持ちでいられなくなる。

 

まあ、それはともかく。

季節のおすすめの惣誉は、「ひやおろし」が発売になるところである。生酛の特別純米のひやおろしと、純米大吟醸五百万石のひやおろしの2種類を出す。どちらも、味わい豊かな、秋あがりした酒となっている。これからが、日本酒の季節。暑かった夏からの身体と気分の切り替えが済んだら、色々考えずにサンマや秋の味覚を調達して、しっぽりと、秋の夜長を楽しみましょう。