惣譽酒造株式会社

やる気はある

2018
56
Sun

何事、ゴリ押しの傾向がある。

トイレが詰まった。この連休の二日目、まだまだ前半戦である。業者はお休み、電話は出ない。前にも詰まったことがあったから、解消する方法は、大体わかっている。仕様がない、ここはひとつ、がんばってみますか。下水が流れ込む庭のマンホールを開けてみる。濁ったあの色の水が淀んでいる。棒を持ってきて、流れていく方の穴を探す。突っつく。ひたすら、水底の穴を突っつく。流れて行かない。もっと奥まで入れて突っつく。流れて行かない。更に突っつく。徹底的に突っつく。流れない。・・・これを繰り返して半時ぐらい経って、「やっぱりプロに任せたほうがいいのでは?」と、撤退する。しかし、まだあきらめがつかず、気の進まない主人をマンホールまで引っ張ってくる。すると彼が、積もった葉っぱの下にもう一つのマンホールを発見。その蓋を開ける。同じように濁った水が淀んでいる。「おお、これが、下流のマンホール!」その中の穴を棒で突っつく。すると、・・・水が引いていくではないか!「やった!うれし~い!」と、喜んでいると、主人が「最初から、ここを見つけて開ければすぐだったんじゃないの。大騒ぎして、まったく!」「ゴリ押ししても、ダメなんだよね。頭つかわなきゃ。」と、私を非難する。だって、葉っぱが積もっていて、見つからなかったんだもの。「やる気だけは、認めてほしいよ。」と、つぶやいている。

なぜだか、子育て中のことを思い出していた。

 

やる気だけは認めてほしい。

息子に持たせる初めての幼稚園のお弁当。何をいれてあげようか。食べやすいように彩りよく、・・・。お弁当箱は、可愛いものを用意した。出来上がった!さて、包んで・・・・しかし、包む布まで思い至らなかった。お弁当を包むもの。大きめのハンカチかしら。結局主人のグレーの地味なハンカチで急いで包んだ。男の子だから、私のスカーフとかバンダナではダメだな。男物のハンカチで包んだ。やっと、届くぐらいの大きさだったので、息子は結ぶことができず、先生に、「もうちょっとだけ大きいので包むといいね。」って、結んでもらったの。と言って帰ってきた。

急いで、お弁当グッズの売り場に行くと、なんとまあ、可愛いお弁当包みナフキンが売ってあるではないか。どうして気がつかないんだろう、と、息子に申し訳なく思った。

やる気だけは認めてほしい。

息子の幼稚園のサッカーの試合。寒い寒い冬の河原のサッカー場。温かいお弁当を持っていきたい、と、思った。保温ジャーのお弁当に、味噌汁とご飯とおかずを入れて、朝早くから用意して出かけた。娘をおんぶして、重い荷物を両手に持って、駐車場から河原へ向かう道を歩いた。吹きさらしの寒い道。「あったかいお弁当だよ。」と、息子に広げて見せたら、横の親子が、魔法瓶からお湯をカップ麺に注いでいた。おにぎりとカップ麺・・・あっちの方が、あったかそうだね。そうか、その手があったのか。どうして気がつかないんだろう、と、息子に申し訳なく思った。

 

ぼーっとしているので、あまり、周りの人とも交流せずに、ギリギリになって一人で動き出す。すると、あれ?となることが、結構ある。思い込みと要領の悪さと不器用さで、どうしようもない自分を、「やる気」という言葉で慰めているのであった。