惣譽酒造株式会社

畑仕事へのあこがれ

2018
922
Sat

 暑かった夏が嘘のように、涼しい風が吹いている。風にのって、金木犀の香りがする。東の庭の大きな金木犀の木が、小さなオレンジ色の花を沢山つけて、もう、この季節がやってきたのだと教えてくれる。

子育ても卒業し、飼い犬にも先立たれ、育てるものと言えば、主人を太らせるぐらいしかなくなったかと思っていたが、思いがけず最近は、園芸にハマりつつある。種を蒔けば可愛らしい芽がぴょこっと出てきたり、肥料をやれば色の良い花を沢山咲かせたり、なんとまあ、物言わぬ草たちの愛らしいことよ。

夏が非常に暑かったので、しばらく静かなお花さんたちだったが、この所涼しくなって、息を吹き返してきている。クリスマスローズは3年前から苗を鉢植えしているが、春に大きな葉っぱは出てきたが、夏に黄色くなってしまって、また今年も花は無理なのかしらんと思っていたら、一週間前から花芽のようなものが顔を出した。ついに、クリスマスローズ、冬芍薬に出会えるか?

 

惣誉の畑には、白菜と大根とネギが植わっている。雨が降ると、「畑が潤うなあ、大根が芽を出すぞ。」と、ほっとするのだ。お日様が照ると、「大根が育つなあ。」と、嬉しくなる。仕事で野菜を作るのは大変だが、自分の手に負える範囲で関わっていけたらと思い、今年は大根の種を自分で蒔いてみた。 酒蔵が忙しくなったり、来客が多かったりすると、なかなか通えなくなるので、となりの齋藤さんや、社員におまかせになってしまうけれど、畑を世話できるおばあさんになれたら、素晴らしいなと思っている。でも、ちよっとしゃがんでいただけで、腰が疲れて痛くなるのは、まったく情けない。今からこれでは、とても厳しい。やはり毎日の習慣にしていかないと、「畑のおばあさん」にはなれないのだろうか。

 

専務が育てている事務所の前のバケツの山田錦が、穂を垂れている。兵庫県吉川の土を使った、山田錦の栽培である。

バケツは近くの小学生の稲栽培に使ったお下がりが一つ、ワタクシが雑巾バケツに使っていたのが一つ、ふたつのバケツに植わっている。小学生のバケツは「ももこ」、雑巾バケツは「じゅんこ」。

「じゅんこ」は背丈がやや低かったが先に穂を出して太っていた。「ももこ」はスラリとしてしずしずと穂を出した。

ふたつとも、しっかりと実りの秋を迎えている。

山田錦は背も高いし、苗自体がとても大柄である。散歩で観察する近所の田んぼの稲と比べても、とても大きい。だから、米粒も大きい酒米なのだと、実物を見て理解した。