惣譽酒造株式会社

猩猩袴が顔を出す

2019
326
Tue

今年の酒造期も終盤を迎えている。先週、甑倒しのお祝いをした。朝からお赤飯を蒸かして人数分のパックに詰める。炊事の高橋さんと私で2升2合ずつ、4升4合を蒸かす。顔合わせの時と甑倒しの時でひと冬に2回作るので、もう大分、年季が入っている。ごま塩と紅生姜をのせて出来上がりである。

実家では、少人数の家族だったので、こんなに大々的にお赤飯を蒸かすことはなくて、炊飯器で3合ぐらいを炊いていた。嫁いできて初めて「おこわ」のお赤飯の作り方を学んだ。

いや、そもそもの始まりは子供が通った幼稚園。卒園式後の謝恩会で、役員さんたちが蒸かしたお赤飯や、ジャムをはさんだり巻いたりしたサンドイッチなどを出していた。まだ新米のママさんだった私は、はじめての役員で、このお赤飯蒸かしを見せてもらった。幼稚園のテラスで、何段にも重ねられた蒸篭が湯気を立てている。「そろそろ、いいんじゃない?」とお母さんたちが、小豆を煮た赤い汁に食塩を割と威勢よく、がさっと入れて混ぜ、よいしょ!と抱えて上げた蒸篭の段の赤飯の上に、この赤い汁を、ぱっぱ、ぱっぱと掛けていく。力強く、手際よく、これぞ正に、「お赤飯蒸かし」という感じ。ホカホカと蒸し上がったお赤飯を、みなでパックに詰めたのであった。今ほど少子化ではなかったので、結構沢山作っていたように思う。手作りの温かさを追求する園長先生のもと、役員さんたちも張り切っていた。「うん、このメンバーなら、美味しいお赤飯ができますね。」と、園長先生が見に来られたのを覚えている。

 

初々しかった30代前半のあの頃から20年以上が経過(言っちゃった)し、何回お赤飯を蒸かしてきたのか。幸せなことであります。

 

今年の酒造りも無事怪我や事故もなく過ごせそうで、良かった。

ここ、芳賀の野にも春がやってきている。少しづつ、小さな花から咲いてきて、桜が咲くころには、緑色の野原になるのである。

先日、草取りをしていたら、ショウジョウバカマ(猩々袴)に出会った。庭の日陰に咲いていた。誰かがここに植えたのであろうか。おばあさんかな?

山野草を庭で見つけると嬉しい。

 

自分で秋に埋めた球根は、出てくるのを待っていて見つけるので、それはそれで楽しみなのだけれど。