惣譽酒造株式会社

酒造夜話

そろそろ始まる季節

2017
1012
Thu

朝、外に出たときの、ひんやりした空気が秋である。もうすぐ酒造りの季節になる。毎年繰り返しているのだが、何だかこの季節が苦手だ。バイオリズムが落ちる時期、というのであろうか。夏の太陽が去って、涼風が吹き始め、身体的には、まだ夏の疲れが抜け切らない感があるのに、蔵人を迎える準備をし始める時期となる。

要するに、働きたくないのだ。忙しくなるのが憂鬱なのだ。怠け者の私は、尻込みしながら毎日を送る。前傾姿勢を保っていくのは、とてもシンドイ。

・・・しかし、時は容赦なく巡って、その季節のなかへと誰も彼もを放り込む。

 

会社の中のあちらこちらの掃除が始まる。蔵の中、食堂、台所、宿舎、布団・・・。布団を干したり、蔵の道具の洗い物を干したりするので、天気が良い日があることが大切で、雨の日ばかりだと、あと何日かで蔵人が入るのに、お布団が干せていない、などと、気を揉むことになる。今年も、まだ干していないのに、明日から雨が続く予報。

台所やお風呂の道具などは、ずっと使い続けていると古びてくるが、それでも使い続けていれば、あまり気にならずに使ってしまっている。しかし、春に蔵人が帰るときに片付けて、次の秋に出してみると、よくもまあ、こんなに汚くなったものを使い続けてていたものだと、あわてて買いに走ったりする。

 

 

蔵の台所には、新しいお箸を15膳ぐらい用意して、茶碗やお皿の欠けているものは取り替える。半年の休止時期からまた開始させるために、調味料や基本的な野菜類などを買い込んで、冷蔵庫を満たしておく。

そして、10月の終わりごろから、宿舎には約10人が寝泊まりすることになる。岩手からの季節労働の人と、地元の通年の社員が5名ずつで、ほぼ10人が毎日のように泊まる。最近、個室に改装した。前は大きな座敷に布団を敷いて、皆で寝ていた。これは、やはり休まらなかったと思うが、随分長い間、昔のままの宿舎であった。

11月から4月までの約半年、ここは仕事だけではなく、生活の場となる。食事も三食一緒である。家族でも、三食一緒という家族は少ないのに、半年間、同じ顔ぶれで食卓を囲む。良い時はいいけれど、嫌な時もあるだろう。

良い酒は、和やかな酒蔵のなかから生まれてくる。と、杜氏がいつも言っているが、皆の努力の賜物であることに違いない。

岩手から来るお母さん、食事を作ってくれるTさんの功績はとても大きい。美味しい食事をたっぷり出してくれる。5年前の酒造りに、フランスから来て、研修で2ヶ月間蔵人として働いたGくんは、ここで体重を増やして帰って行った。

フランス人を肥やす惣誉のまかない。美味しいんだね。