惣譽酒造株式会社

帰郷の日

2019
411
Thu

 明日、蔵人が帰郷する。大変な仕事を寒い冬の間、勤め上げて、春を迎える今、この仕事場をはなれる。帰る日の朝は、会社の社員一同で、お見送りする。今年は4月に入って寒い日が多かったので、桜もまだ、ほとんど散らずに咲いている。岩手はまだまだ蕾であろうか。熊本は、もう散ってしまったか。

おかしなことだが、私は帰っていく彼らを見送りながら、うらやんでいる。故郷へ帰る彼らがうらやましいのだ。私もあの門をくぐり抜けて帰りたい。おいて行かれた感じがして、寂しいのだ。特に、この日の夕方。冬の間ずっと、食堂の方から聞こえていた夕食の賑わいが聞かれなくなり、しんとした会社の構内に、桜の花びらがちらちらと舞うのが、なんとも寂しい。

寂しがり屋ナンデスな。いい歳をして、寂しがり屋ナンデスよ。別に私は、家族と離れて働いているのでもなければ、大変な酒造りを毎日しているわけでもないのだから、どこへも行かなくていいのだし、おいて行かれるなんて、感じるほうがおかしいのです。

春は美しい季節だが、あるいは美しい季節だからなのか、精神的に不安定になりがち。

ここを何とか乗り切らなければならない。毎年のことである。

 

 

気を取り直して、少し気合いを入れて、食事を作ってみることにする。野菜も春らしいものが出回ってきた。

春キャベツのひらひらとしたまあるい姿が美味しそうだし、トマトも甘みを増している。アスパラガスもみずみずしく、サニーレタスや、きゅうりや、新玉ねぎとサラダにする。食卓の色合いが華やかになるのも、春である。

惣誉のホームページに「季節のおすすめ」として、お酒にあわせた料理を載せている。今回は、まだ春なのに早々と夏のおすすめになってしまっているが、四季ごとに、お酒と合わせる料理を考えながら、写真を撮ってもらう。このページを撮り始めたころは、「栃木の食材」で作ろうと意気込んでいたので、地元で採れる野菜と、川魚の鮎などを紹介していた。しかし、何回かするうちにネタが尽きて(料理の腕がないので)、あらゆる料理を良しとして、今回はまあ、ハワイアンのポキサラダである。

日本酒は料理と楽しむお酒なので、特に「惣誉」は、料理を食べながらススムお酒だと思うので、ホームページに料理のページは必須である。なんとか頑張って続けていきたい。

次回は、ちょっと濃い味の純米酒に、バーベキューのお肉を合わせてみようかな。季節のおすすめ、予告です。