惣譽酒造株式会社

山うるおう季節に

2019
515
Wed

田植えの済んだ、美しい田園風景が広がっている。また、一年で一番美しい季節。里山の木々は様々な緑の濃淡に彩られ、風にそよいで、その緑の色彩が動いて映る。生きていることを、一斉に歌っているような姿である。

 

連休に、主人と近所の公園に出かけた。「青もみじ」がかぶさってくるような散歩道をくつろいだ気分で歩く。連休だというのに、そんなに混み合っているわけでもなく、広々としていて、とても良いところ。良い休日を過ごした。「軽井沢かしら、ここ。北海道?」と、写真を撮り、子どもたちに「北海道に日帰りしてきました」とラインで送る。

我が家の庭には、無数の草が芽吹いて、少し酒屋商売に気を取られている間に、大きな草に育ち、先端に花や、遠くまで飛びそうな種を沢山つけている。早起きができた日は、この大きな草を引っこ抜く作業に勤しんでいる。ちょうど、暑すぎず寒くもなく、動きやすい日々である。まだ、顔のまわりにブンブンといってまとわりつく虫もいない。

私の草むしりは、質より量を追い求めているので、大きな可愛くない草だけ抜いたりちぎったりしている。土の近くに生えている小さな草たちはそのままになる。気が向いたときだけ、鎌でガシガシとこすっている。草の再生率は極めて高い。

先週は一週間、早起きができたので、大分能率が上がった。明るくなるのが日に日に早くなるこの頃である。

それなりにキレイになった庭を眺めると、それなりの作業に対する満足感も得られて、それなりに気持ちがいい。

 

一週間、一回りした草むしり作業が終わるころには、また一週間前にむしった所に草が生え始めている。徒労とは思わず、少しづつ生える草が小型化していることにやりがいを見出す。あれ、こんなに地道な人間だったっけ?

野の花を、切ってきて、小さく生けてみる。外に出て感じる季節が、部屋の中のその場所にもやってくる。花は、庭や野原では、仲間たちと咲いていてにぎやかだけれども、小さく切り取られて、楚々としておさまっている。こうして、部屋の中の身近に置いて、改めてその姿の美しさに向き合うのも贅沢である。花器とあいまって、慎ましく感じる。茶花の世界?

 

そして、すぐに萎れていく。一刻の花である。全くとどまることはない。